ダブルケアについて知っていますか?
ダブルケアとは、子育てと介護など複数のケアを抱えていることです。ダブルケアになると目の前のことに一生懸命になり、だれにも相談できず、一人で頑張っている方が多いです。
まずはダブルケアについて知り、ダブルケアになる前にできることからしていくことが大事です。
ダブルケアの専門家 野嶋成美さんから、「ダブルケアとは、子育てと介護など複数のケアを抱えていること」と教えていただきました。
また、なかなか自分の親が介護が必要な状態になっても、その状況を飲み込めない、見ようとしない、見たくない方が多いという現実もあることを知りました。
子育てと介護という生命にかかわる2つのできごとが同時に訪れるのがダブルケアです。
そのため、
など、さまざまな負担が多くなり、そのときどきによって、子育てと介護のどちらをとるか選択をしないといけない状態になるのがダブルケアです。
社会の変化により、ダブルケアがさらなる問題となってきました。
大きな社会の変化は
です。
核家族とは、夫婦とその未婚の子どもからなる家族のことです。核家族化の進展により親と同居しない家庭が多くなりました。
そのため、両親とのコミュニケーションが減り、些細な変化に気づくことが難しくなる。ケアをおこなうための精神的な距離や物理的な距離が以前より遠くなりました。
少子高齢化により、介護をおこなう世代が減り、介護をうける世代が増加しています。
そのため、親族等と協力することができず、一人に両親の介護が集中しやすくなり、介護の負担がおおきくなりました。
晩婚晩産化により、子育て中に介護がはじまる方が多くなっています。
1975年では、子育てが落ち着いたタイミングで、介護がはじまることが多かったです。
しかし、2016年には晩婚晩産化により子育てと介護が重なり、ダブルケアとなる方が増えてきました。
介護は、入浴や食事などの介助だけでなく、気にかけて電話をすることも入ります。そのため、体力的な負担だけでなく、精神的な負担を抱えている人が多いです。
しかし、気にかけて電話をするという状況を介護だと思っていない方もいます。
そのため、ダブルケア予備軍はたくさんいます。
ダブルケアは「突然」訪れます。核家族化などの理由により、密なコミュニケーションが減り、筋力や認知機能の低下に気づくことがむずかしいからです。
いざというときに介護サービスの情報を集めていても目の前のことで一生懸命になり、なかなか最適な方法をとることが難しく、冷静な判断ができません。
そのため、ダブルケアについて知ったときに、じぶんごとと思い、できることからしていくことが大事です。
できることは
です。
介護サービスが必要になる前に、地域包括支援センターがどこにあるのか、自分の住んでいる地域包括支援センターはどういう活動をしているのかを知っておくことは、介護や介護予防への興味をうながし、「突然」のときに備えることもできるかもしれません。
また、地域によっては、介護予防のためのリハビリテーションをしているところがあります。そういった情報に触れ、両親に伝えるためにも地域包括支援センターの役割や介護、介護予防への興味を持つことが大事です。
地域包括支援センターの検索はこちらから
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
地域包括支援センターとは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助をおこなうことにより、地域の住民を包括的に支援することを目的としています。
地域包括支援センターはすべての市町村に設置されています。
地域包括支援センターには4つの業務があります。
高齢者等に関するさまざまな相談を受け、適切な機関や制度 サービスにつなぎ、必要な支援をおこないます。
関係する機関と連携して、高齢者の権利と財産を守るための支援 や、虐待防止の取り組みをおこないます。
高齢者の自立を支援するケアマネジメントの支援として 介護支援専門員(ケアマネジャー)への日常的な指導、相談、助言を おこないます。
要支援・要介護状態になる可能性のある方に対する介護予防ケア プランの作成や、介護予防に関する事業が円滑に実施されるよう 支援します。
訪問看護が必要になるときは、突然やってきます。
「突然」にならないためには地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の担当の方に訪問看護について聞いておくことが必要です。
訪問看護の事業所やサービスの特徴などを聞いておき、早めの介入ができるようにすることが大事です。
看護師などが居宅を訪問して、主治医の指示や連携によりおこなう看護です。訪問看護は、病気や障がいがあっても、医療機器を使用しながらでも、お家で最期まで暮らせるように多職種と協働しながら療養生活を支援します。
「病気や障がいがあっても、住み慣れた家で暮らしたい」
「人生の最期を自宅で迎えたい」
でも、
「家族だけで介護や医療的ケアができるだろうか」
「一人暮らしだけど大丈夫?」
そんなときに頼りになるのが訪問看護です。
介護保険が認定されているか確認し、医療保険での対応範囲になる場合をみます。基本的に、介護保険の認定がされている方は介護保険が優先となります。
医療保険になる場合は
があります。
訪問看護では、利用者様のご希望に沿った療養生活をかなえるための支援や調整をおこないます。
主治医と密に連携し、
などをおこないます。
そのため、多職種と連携しチームを組み、利用者様の看護にあたる必要があります。
訪問看護は、医療保険と介護保険で窓口が違います。
子育てについて正解があるのか、あのときしたことは合っていたのか悩むことがあります。そのため、子育てについて両親や、小学校や中学校などの子どもが通っているところの友達と話し相談することも大事です。
しかし、それでは子どもがフィルターとなり、子どもを通しての親としてその人が存在することになります。また、ダブルケアのときには、そういう場所に行くこともできず、一人で迷うばかりで相談することができなくなります。
そのため、ダブルケアになる前に、子育てについて価値観が合う仲間をつくり、主体的に子育てに向き合うことが大事です。また、自分自身が主体的に、自分として子どもと向き合い、子育てをおこなうことで自分の判断軸や決定に自信をもち精神的にも安定します。
子育て仲間とアクティブリスニングを徹底するために話す場はこちらから
ダブルケアになってからでは、なかなか家族に相談することもできません。本人が自分から声を上げていくことも難しいです。また、ママ友には子育てについての話はできるが、介護の話はしづらい。暗くなるからできない状況です。
そのため、普段から身近な人にアクティブリスニングを徹底し、信頼関係を築いていることが大事です。
アクティブリスニングを徹底していると、両親や子どもの些細な変化も気づき、相談もうけるようになります。また、信頼関係が築けているため、いざというときに人に頼ることもできます。
アクティブリスニングについては、こちらから
ダブルケアは「突然」訪れます。そのときのために、
が大事です。ダブルケアについて知ったときから、じぶんごとと思い、できることをしていきましょう。